職業訓練校のカリキュラムの中でも、最も緊張感が高まる「企業実習」。
「未経験の自分が行って、迷惑をかけないだろうか」「プロの現場で通用するのだろうか」。そんな不安を抱えて飛び込んだ実習先は、想像以上に温かく、そして「自分」を試される自由な場所でした。
今回は、実習中にAIを一切封印して挑んだコーディングの裏側や、実案件でのライティング・WordPress移行といった貴重な経験を通じて見えてきた、現場で求められる「主体性」についてお話しします。
「これをやりなさい」がない。自分の意志が試される自由な現場
私が実習でお世話になった会社は、驚くほど温かい雰囲気で私を迎え入れてくれました。そして何より驚いたのが、業務の進め方です。ガチガチの指示があるわけではなく、「社員が抱えているタスクから、やりたいものがあったら選んでいいよ」という、非常に自由度の高い環境でした。
コーディング志望の私が、ライティングやカンプ修正に触れた理由
私はコーダー志望でしたが、実習ではあえてコーディングだけに固執しませんでした。社員の方から「これやってみる?」と振られたデザインカンプの修正や、実案件のライティングなど、「Web制作の現場で起きていること」にまるごと触れさせてもらったのです。
「自分のやりたいことをやっていい」と言われる現場だからこそ、指示を待つのではなく、自ら選んで実務に食らいついていく。一見、遠回りに見える多種多様なタスクへの挑戦が、結果としてWeb制作の全体像を理解する大きな助けになりました。
「自分のペース」だからこそ、甘えを捨てて自分を追い込む
自由であるということは、裏を返せば「自分で自分を管理しなければならない」ということでもあります。私はあえて、コーディングの際には自分の作業時間を厳密に計測し、自分の中での目標タイムを設定して取り組んでいました。
「実習生だからゆっくりでいい」と甘えるのではなく、今の自分がプロのスピードに対してどれくらい通用するのか。その「現在地」を把握するための工夫は、自由な現場だったからこそ、より強く意識したポイントでした。
実習先は、指示を待つ場所ではありません。「何がやりたいか」を自ら選び、自分の目標を自分でコントロールする。その主体性こそが、現場のプロが最初に見ているポイントです。
あえての「AI封印」。自分自身の現在地を知るための真剣勝負
実習における私自身の最大のテーマは「自分の腕一本でどこまでできるか」でした。実習先からの指示もあり、現場でのコーディングはAIを一切使わない「完全自力」で挑むことにしたのです。
時間を計測し、自分の中に「目標」と「基準」を作る
AIがいれば一瞬で解決するスペルミスや記述ミスも、自力となれば話は別です。あえて「ブースト」がない状態で時間を計りながら追い込むことで、今の自分の素の力がプロの現場でどれほど通用しないのか、あるいは通用するのかを、身をもって知ることができました。
夜の「AI補習」と、昼の「実戦」で得た圧倒的な成長感
もちろん、現場で解決できなかったことや、より効率的な書き方は、家に帰ってからAIを使い倒して「復習」しました。昼間に自力で格闘して、夜にAIという最強のメンターと答え合わせをする。
この「自力」と「AI」の往復が、私のコーディングスキルを短期間で爆発的に引き上げてくれたと感じています。現場のルールを守りつつ、裏でテクノロジーをフル活用して補完する。これが未経験からの最速成長術です。
便利な道具をあえて封印してみることで、自分の弱点が浮き彫りになります。その弱点を夜にAIで徹底的に補強する。この繰り返しが、現場で戦うための「本物の基礎力」を作ってくれました。
「ちんぷんかん」でも手を動かした経験が、未来の自分を救う
実習で挑戦したことの中で、特に印象深いのがHTMLサイトからWordPress(PHP)への移行作業でした。当時の私にとって、この作業は未知の領域そのものでした。
実案件の「重み」に触れながら、未知の領域へ
当時は正直、WordPressの構造なんて「ちんぷんかん」な状態です。それでも、社員さんの指示を受けながら必死に手を動かしました。カンプ修正一つとっても、訓練校の課題とは違う「実案件の重み」があり、緊張感の中で一つひとつタスクをこなしていく経験は、何物にも代えがたい財産となりました。
あの時の「点」が、今の実務で「線」に繋がった
今、現場でWordPressを触る機会が増えて実感しているのは、「あの時、意味も分からず必死に触っておいて本当に良かった」ということです。当時は理解できなかったコードの意味が、今の実務経験と結びついて理解に変わる。
実習での「未知の体験」は、後からじわじわと効いてくる最高の先行投資でした。分からないからと逃げずに、言われた通りにでもやってみたことが、今の自分を助けてくれています。
まとめ:実習は「教えてもらう場所」ではなく「自分を証明する場所」
職業訓練校の実習は、単なる「職場見学」ではありません。自分から「やりたいタスク」を選び取り、時にはAIを封印して自分の実力と向き合い、分からないなりにも実案件に食らいついていく。その姿勢こそが、プロとしての第一歩になります。
これから実習に行く方へ。今は「ちんぷんかん」でいい。でも、提示されたチャンスには全部乗っかってみてください。その時流した汗や、AIを使わずに悩んだ時間は、数ヶ月後のあなたを必ず助けてくれるはずです。
「選べるなら、一番難しそうなものを選ぶ」。その小さな勇気が、未経験アラフォーという壁を乗り越えるための、最大の武器になります。


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